ぞらメシ。

「ゆるくいこうよ」がモットー、おそととごはんのブログ。

「給食費払ってる」から「いただきます」は言わせない?

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こんにちは、栄養士キャンパーのぞらりんです。

 

給食の世界にいて、給食センターと学校をつなぐような仕事をしていると聞こえてくるのが『保護者の声』。

その中でも「ぶっ飛んでるなー」と思ったことについてお話ししていきたいと思います。

 

ぶっ飛んでる保護者が言う言葉。それは、

給食費払ってるんだから、うちの子にいただきますなんて言わせない」

 

 

#「いただきます」を言う意味

日本では食事の前には「いただきます」を言います。

キリスト教の方は食事の前には「アーメン」と言います。

 

小学校の時から何気に刷り込まれてきた「いただきます」

でもなぜ言うのか意識したことありますか?

 

私が食育で教えることの中で、かなりの頻度で教えてるのが「いただきます」の意味です。

 

「いただきます」の持つ意味とは、

 

・生き物の命をいただくこと

・生き物や農産物を育ててくれた人

・流通に関わった人

・調理に携わった人

 

これら全てに感謝をして自分の糧にする、ということです。

 

 

キリスト教の方が言う「アーメン」も、日本と文化が違うので感謝する対象は違いますが、「今日も生きるために食物を食べられるのは神様のおかげです。感謝します。」という祈りを込めているわけです。

 

つまり、大げさにいうと感謝なくては食の概念が成り立たない、ということになるでしょうか。

 

 

#お金払っていれば、感謝しなくてもいい?

多くの人はお金を払って食物を手に入れますね。

そのお金は自分が、あるいは家族が汗水流して稼いだものです。

では、その大事な大事なお金を払えば、食物を食べる時に感謝しなくてもいいでしょうか?

 

ここで給食の話に戻りますが、給食の現場ではいとも簡単にこのような言葉が発せられます。

 

「私たち親が稼いだ金で給食費払ってるんだから、うちの子にいただきますなんて言わせない」

 

そう言う方々はおそらくですが、

「給食に大事な金を払ってやってるんだから、給食出すのが当たり前。黙って出せばいい。」

と思っているのでしょう。

 

正直言いましょう。

私たち給食関係者は100歩譲って、子どもたちがお腹を満たせて、元気に学校生活が送れればそれでいいんです。

子どもたちが元気に勉強したり、運動するための一端を担っていると思えば嬉しいことです。

 

でも、それを親が言うのは違う。

子どものために親のするべきことは給食費を払うこと、そして子どもに感謝を教えることだと思います。

 

もちろんそれは給食の時間でも教えますし、最近広まっている食育でももちろん最優先でやるべきことです。

 

でも、子どもが一番信用を置いているであろう親がこの態度では、子どもは食に対し同じように感謝をしなくなります。

それは、食に関わる人たち、命を粗末にしていることと同じことです。

 

あなたが肉を、魚を、野菜を食べられているのは、生き物の何をいただいたからですか?

あなたが美味しく安全に食事ができるのは誰のおかげですか?

あなたが健康的なバランスの良い食事が食べられるのは誰のおかげですか?

 

 

私たち給食関係者は決して傲慢に感謝を欲しているわけではありません。

ただ、「いただきます」というこの一言にどれだけの意味が込められているのかを知っていて欲しいのです。

 

 

#給食の無償化は感謝の気持ちを薄れさせる

最近では給食の無償化というのも実施され始めているようですが、私自身は反対です。

 

そりゃ、家庭の経済的に楽になるのもわかるし、給食費の未納問題がこれで解決されるなら、給食関係者としても嬉しいことです。(未納があるとダイレクトに支払いに響きます・・・)

 

でもこれによって、『給食が出てくるのが当たり前』になってしまうのが怖いのです。

 

人間は当たり前のことには目も向けなくなります。

それは、食に関わる人たちが悲しみ、そして質が下がることに繋がりかねません。

 

そして質が下がった、美味しくないものを食べるのは子どもたちになります。

完全な悪循環です。

 

 

 

#「いただきます」を知っていて欲しい

強い言葉で言いますが、いくら汗水流して働いたところでお金は所詮『媒体』。

給食費は「材料費」であり、そこに感謝は含まれません。

でも私たちが「いただきます」と言うことで、どこかでなんらかの形で感謝は伝わる。

そう思います。

 

しかし、今すぐに思考を変えろといっても難しいでしょう。

「いい大人がいただきますなんて言うの恥ずかしい」と思う人もいるでしょう。

けれども、「いただきます」の言葉の意味を理解しているのとしていないのとでは雲泥の差。

それを子どもに教えるのと教えないのとでは、大人になってからの食に対する構えが変わってきます。

食に対する構えで人間に対する構えも変わる。

 

私は知っていて欲しいのです。「いただきます」の意味を。